無から出た錆
キラーチューンはなんと言っても1曲目の『長い話』。
落ち着いた柔らかなメロディ。
冬の暖かな暖炉の前だろうか、それとも夏の夜 静かな波打ち際だろうか。
ゆったりと時が流れる中、口は出せなかったような思い出を 静かな声で流れるように紡いでいく
……ほろりと涙がこぼれそうな一曲である。
惜しむらくは『私を辿る物語』が、フルコーラスで収録されていないことか。
アルバムの最後を締めくくるには、短いほうが雰囲気がでていいのかもしれないが…ぜひこの名曲は、完全収録してほしかった。
全体的に落ち着いた歌が多い。
1stにあったひんやりとした水晶のような感じは少なくなった。冷たく碧かった世界に、暖かいランタンの光を燈したようである。
だが、その曲にまどろんでいる中に飛び込んでくる詩には、心の隙間を刺すような殺し文句がいくつも隠れている。
普段なら引いてしまうような台詞なのだが、そう感じさせないのが、彼女の歌唱力の術なのだろう。
彼女の声に耳を傾けていると、胸のつっかえがすぅ〜っと溶けて楽になれ、カウンセリングを受けているような気さえしてくる。
心の癒しを求めている方、癒してあげたいと感じている方に、ぜひオススメの一枚だ。
さようなら私の金八先生―25年目の卒業
3年B組金八先生という番組がどのように生み出されたのか?から始まり25年目の卒業を迎えるまでの小山内先生の思春期の息子さんへの子育て法を交えながら各シリーズの生徒たちの集合写真と出来事が脚本家側のコメントと共に書かれていて金八ファンにはなかなか興味深い内容となっていると思います。
全シリーズを見ていない私は、各シリーズの生徒たちのことなどが書いてあるのを読むと全部見てみたくなりました。
あと、小山内先生の息子さんへの愛情がとても伝わってきました。
もうすぐ第7シリーズも終わってしまいますが、第7シリーズのことも書かれているので是非読んでみてはいかがですか?
私をたどる物語
はじめてこの曲のPVを聴いたとき、彼女の力まない(脱力的な...)歌い方に目を奪われました。そしてさびの部分までさしかかったとき、その誌に描かれている普遍の青春譜を感じて思わず涙があふれました。
作詞は武田鉄矢さん。なるほどと思いました。"暮れなずむ街の〜"が一瞬フラッシュバックしました。武田さんの歌唱の方は聴いたことがありませんが、武田さんが歌うと熱血的になるだろうこの歌詞を熊木杏里さんが、きわめて素朴に切々と歌うことで、歌詞に描かれた思春期特有の世界観が空腹のお腹に染み渡るように心を震わせてくれました。
思春期に誰もが通る"あの時"がこの歌を聴くと鮮やかによみがえってくるような気がします。熊木杏里さんは、爆発的にセールするようなアーティストではないかも知れませんが、これからも大切に、大事に、心を歌うことを続けていってほしいなと思ってしまう、希なアーティストだと思いました。
「私をたどる物語」とっても、ピュアーな歌です。