やくざ監督と呼ばれて ~山陰のピカソ・野々村直通一代記
秋の中国大会を制したチームを率いた選抜高校野球大会緒戦で21世紀枠のチームに破れた時の監督インタビューで、「腹を切りたい」、「21世紀枠に負けるなんて末代までの恥...。」という趣旨の発言で舌禍事件を起し、辞任。
謝罪会見に現れた際のファッションがあまりに奇抜で、さらに輪をかけて印象を悪くしてしまう。
その後署名嘆願(驚くことに、なめられた高校のある和歌山県からも署名があったそうで)も含めて復帰を望む声に押されて復帰し、最後の夏の甲子園では優勝した日大三高とシーソーゲームの接戦の末敗れる。
それ以前にも登録ルール違反(後付のルール解釈のようではあるのだが)の選手を使った秋の中国大会の記録が抹消されたり。
それでも、島根という日本でも有数の少人口の県出身の教え子からプロ野球選手を数名輩出。
あまりに毀誉褒貶が激しく、野球ファンとしてどう評価してよいやらわからない監督だったので、気になって購入。
読み終わって、結論。
評価不能。
文章を読む限り支離滅裂でも、非論理的でもなく、国立大を卒業しただけの論理思考力はお持ちのようであるし。
絵描きとしての技量も挿絵を見る限りなかなかのものでもあるし。
想像するに、目の前のことに桁外れに一生懸命になりすぎて、外部に与える印象やら評価やらはどうでもよくなってしまう(というよりハナから意識しないでいる)ということなのではなかろうか?
野球ばっかりやっていて、学校出てすぐ先生になって世間知らずで騒動を巻き起こしたというのとは、微妙に(まさに紙一重だが)違う気がする。
「常識」「世間体」といったものに縛られて、自分らしく生きられなくなっている普通の人から見るとある意味うらやましくもあった。