ライヴ・フロム・ザルツブルク [DVD]
ベートーヴェンの三重協奏曲はアルゲリッチのピアノとヴァイオリンのルノ-・カプソンとチェロのゴーティエ・カプソンのカプソン兄弟という来日時と同じメンバー、というよりも、このザルツブルグ音楽祭の演奏メンバーでの来日公演だったのですね。アンコールはシュトラウスのラデツキー行進曲とヒナステラのバレエエスタンシナから終幕の踊り。
終幕の踊りの演奏風景はもう何度も繰返し見ているのですが、なぜか涙が出てきてしまいました。音楽って素晴らしい、と再認識する作品です。
このドゥダメルとSBYOVはCDもさることながら、映像で楽しまれるのが特にお薦めです。とにかく皆、キラキラしていて美しいのです。
ザルツブルグ大学でのドゥダメルとSBYOVのユーモアたっぷりの音楽講義(題材はマーラーの交響曲1番、巨人)の様子も付いています。これは必見。
ユニバーサルさん、来日公演の映像リリースも引き続きお待ちしてます!
展覧会の絵
この「展覧会の絵」を聴いた時、一周り成長した辻井君の一面を見た気がしました。一曲一曲がまるで、色彩豊かな一枚一枚の絵を見ているような感じに聞こえました。特に「古城」は栄華を極めた城が今は物悲しくさびれてしまったように、「卵のからをつけたひなの踊り」はひな鳥が走りまわっているように聞こえ、そして最後の「キエフの大門」を聴いた時は、NHKのドキュメンタリー番組の中で曲のイメージをつかむのに、如何に苦労したのかを見ていたからでしょうか?分からないのですが、何故か涙があふれて来ました。ダイナミックで華やかな作品に仕上がっていますね。
リストの作品も、同様に華やかで繊細な演奏でした。「リゴレット・パラフレーズ」は、まるでアリアを歌っているように聞こえて来ました。
展覧会の絵、禿山の一夜
テオドレ・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団による演奏。
「展覧会の絵」は、数ある名盤とも比肩しうるしっかりした演奏だと思います。
オーケストラの響きも、華やかさはないものの、なんとなくロシア的な土臭さがあります。
この演奏内容で¥500は絶対にお買い得。
「禿山の一夜」はなんとムソルグスキーのオリジナル版を使用。
リムスキー=コルサコフが編曲した、一般的に演奏されている「禿山の一夜」とはまた違った世界があります。聴き比べると面白いですよ。お薦めです。
ちなみに、NAXOSから発売されているオリジナル版(8.555924)にはこれに加えて、リムスキー=コルサコフ編曲版の「禿山の一夜」と「ホヴァンシチナ」前奏曲、「ソロチンスキーの市」からのゴパークも収録されています。やはり面白い演奏なので、興味があればそちらのオリジナル版をお薦めします。
展覧会の絵―ムソルグスキー友情の組曲 (音楽の部屋)
『展覧会の絵―ムソルグスキー友情の組曲』です。
『1870年代のロシア。街は活気にあふれ、ロシアならではの芸術を生み出そうと、たくさんの若者たちが情熱をかたむけていました。そんな時代に作曲されたムソルグスキーの「展覧会の絵」―。この曲にかくされた熱い友情の物語が、こんな音楽絵本になりました。』
本の厚さは1センチくらい。小学校低学年、にはやや語彙が難しいかなとも思いますが、中学年くらいまで向きの絵本だと思います。
表紙絵のとおり、カラフルでダイナミックなタッチの絵です。
内容は、知っている人は知っている史実に基づいたもの。
急死した建築家で画家のハルトマンの死を悼み、芸術評論家「司令官」スタソフが遺作展を開く。ハルトマンの死にショックを受けて引きこもりになっていたムソルグスキーを連れ出す。そこで観た絵の印象をもとに、ムソルグスキーは『展覧会の絵』を作曲する。
これだけのシンプルなストーリーなのですが、特に後半は展覧会の絵の10枚の絵のイメージがあふれ出てくるような怒濤の流れで、イラストの迫力があります。
ムソルグスキー、ハルトマン、スタソフの、ロシアの凍土をもとかすようなホットな友情を、展覧会の絵の魅力も盛り込みつつシンプルながらも感動的に描いてあって、良い絵本です。
巻末訳者あとがきには、展覧会の絵を聴くのにオススメCDも挙げられています。★5。